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話の本筋から雑談、枝葉の情報に至るまでノートに残していたほうが、後で見返すときにはるかに理解しやすいし、わずかな印象として残っているものも思い出しやすいのではないでしょうか。 たとえば、受験の世界では、厚くても理解が進む参考書を使ったほうが要点集を使うよりも勉強が進むというのが常識になっています。
受験生が実際に体験していることでもありますが、いまの話にそのまま通じることです。 最近はICレコーダーのような便利なものが普及しているので、たしかに音声データを扱うのは楽になっています。
録音した講義を聞き直すには、基本的に聞いたときと同じ時間をとられてしまいます。 単純計算でいってもそれだけで二倍の時間を使うことになってしまうので、やはりその場で集中して書き留めながら少しでも内容を理解しようと努力したほうが、時間の有効利用につながるといえるのではないでしょうか。
ちなみに、目の前で一心不乱にメモをとる姿は、相手の自己愛を刺激することにもなるというメリットもあります。 そんな姿を見て、人によっては気分がよくなっていろいろなことを話してくれることもあるでしょう。
一対一の場面でも使えるテクニックなので、対話に支障を来さない範囲内で、実際のビジネスの場面で試してみるのも面白いと思います。 まずはモチベーションについて考えてみたいと思いますが、目標を持っていざ事を始めても、意欲が続かないことはよくあります。
本書のような自己啓発書を求めるやる気満々の人でも、現実に勉強を始めてみると、必ずしも思い描いていたとおりにいかないのが勉強の難しさです。 思うように勉強を続けられない状態には、およそ二つのケースが考えられます。
その一つは、勉強をしていると、途中で嫌になったり、眠くなったり、テレビを見たくなったりするような、気が散って勉強が続けられない状態です。 こういう人は概して、集中力がない、根気がない、あるいは落ち着きがないなどといわれています。
思うように勉強を続けられないもう一つのケースは、やる気はあるけど行動がともなわないスランプ状態です。 これについては後にあらためて取り上げることにします。

 かくいう私も、長時間集中を維持することができないという欠点をもっています。 本の原稿を書くときも一時間集中が続くことは滅多にないほどで、すぐに席を立ってはコーヒーを入れ、新聞を読み、あるいはアイデアをしぼり出すためにあたりをうろつくということを繰り返しています。
私の場合、幸いなことに一つのことを長時間続けられないというだけで、休憩などを入れれば、やるべきことそのものはそれなりに継続できています。 このような場合は、集中力が続かなくてもあまり問題にしなくてよいと思います。
ちなみに、私はもともとそのような傾向が強かったようで、大学受験のときも、机から離れて歩きながら暗記ものの勉強をしたほどです。 そのほうが自分にとってはものを覚えやすかったので、当時からそのこと自体が問題だとも思っていませんでした。
じつはこの方法は、専門家の間でも効果が認められています。 実際、私がそのようなことを著書に書いた際も日本医大の大脳生理学者、故・S川嘉也先生などは、体を動かしながら記憶することを「理にかなったこと」と認めていたくらいなので、決して悪いことではないと考えています。
じつは私のような症状は、増加傾向にある子どもの精神障害の一種、注意欠陥多動性障害(ADHD)に通じるものがあります。 不注意および多動性・衝動性が最低六ヵ月以上続いてしまう状態で、同程度の発達レベルにある人と比べてそれより頻繁で重症なものを指します。

アメリカでは低く見積もっても、子どもの五パーセントがADHDに該当し、そのうちの五分の」程度は大人になってもこの障害が残るといわれています。 それほどひどいケースでなくても、大人になってもイライラしやすく、落ち着きがない傾向が強いとされているのです。
いるように思います。 それゆえに、いまでもじっとパソコンに向かっていることができず、すぐに席を立ってしまうということでしょう。
ここで私がなぜこのような話を持ち出したかというと、病的に落ち着きがない人であっても、勉強を続けていくうえでそれほど不都合なことはない、ということをあえて強調したかったからです。 現実に私の場合は、実社会ではそれなりどころか、まわりの人以トに仕事はできているし、日常的な勉強も平均以上のものをこなしているという自負があります。
ちなみに、ADHDの人は、落ち着きがないかわりに、いろいろな新しいことに興味をもつ傾向があるとされています。 実際、歴史上の偉人のなかには、これにあてはまるような人が多くいたと考えられています。
たとえば、小学校に通えなかったものの大発明家として名を馳せたエジソンや、日本では坂本竜馬がこれにあてはまるとされています。 この病気に限っていえば、短時間しか続かない集中力をトレーニングによって少しずつ伸ばして、人より短い注意時間をいかに生かすかが克服のためのポイントになっています。
落ち着きのない人間でも本当に面白いものなら集中できます(エジソンを見ればわかるでしょう)。 だからこそ、どんな人でもまずは、勉強とは苦痛なもの、苦労すべきものという先入観をさっさと捨てることが大切なのです。
頭がよくなりたい、勉強をしたい、知的な取り柄をもちたいという場合は、とにかくあれこれ試し、本当に関心のもてること、面白いことをなんとしてでも探すのが一番です。 勉強は本来、楽しいものであることが理想です。
自分が楽しめる、興味がわくジャンルを探すことが、動機を維持し、勉強を続けるための近道です。 昔から教育心理学者たちが重要なテーマとして取り組んできた成果として勉強がもっと好きになる!最新心理テクニックの理論を紹介しておきたいと思います。
精神分析学の大きなテーマである「人間の本質的な動機づけはなにか」ということにも深くかかわっているもので、私自身もとくに関心を持ち続けてきました。 日本における教育心理学の第一人者、東京大学のI川伸一教授によれば、二〇世紀の初頭から一九五〇年代までは「明瞭な外的報酬」が、六〇年代から七〇年代にかけては「内発的動機づけ」が勉強の動機づけとして重要視されてきたそうです。

外的報酬を重視する考え方は、外発的動機論ともいわれています。 要するに外からアメとムチを与えることによって勉強の動機づけをするというものです。
勉強をしてよい成績を取れば社会的地位や高い報酬が保証されるし、親も喜ぶでしょう。 逆に勉強をしていないと、ろくな学歴も得られず、落第などの罰も用意されていましたが、「立身出世」という言葉が生きていた時代の勉強の動機づけとしては、この方法が大いに役立ったことは確かなのです。
人間には知的好奇心が備わっています。 勉強をして賢くなれることそのものを楽しむ態度となって表れます。
そこで、それまでの外発的動機論を批判する立場から、賞罰をつけることが逆に自然な知的好奇心を摘み取ってしまうという理論が、六〇年代以降に叫ばれるようになりました。 もっと人間の内なる学習への欲求を大切にすべきであるという、いわゆる内発的動機論の考え方です。

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